2019年5月18日

汎用ロジックでD級アンプ

(追記:ΔΣ型となっていますが、本当はヒステリシス変調という方式らしいです。2つの違いを調べてもよく分からなかったので詳しくは書けません)

自己紹介


 こんにちは!ネトラトだよ~! なんとHITEGに入ってみました。メインブログとは分けて小ネタみたいな記事を書こうと思います。いわば気分転換の工作ですね
 これからもよろしくお願いします。

動機


 突然ですが、私が気分転換の時は簡易D級アンプを組みます。理由は原理が面白いのが大きいです。個人的に好きな方式がΔΣ方式なのでいつもそれにしています。
 普通、ΔΣ型のパワーアンプはその原理からコンパレーターが必要です。入力と出力の大小関係をフィードバックするためです。今までもLM393等を使って遊びました。


 しかし、それを一見無くしたかのような回路を思い付いたので実際に作ってみました(遊び)

基本原理


 まず、ΔΣ型は普通のアンプと同じように、出力電圧と入力電圧が同じになるように動きます。つまり負帰還をかけるのですが、パワーアンプが1か0しか出力できないので、その方法が特殊になります。↓
 もちろん負荷に1or0の出力を付けるとアナログの値はありませんから、Lを介して繋ぎます。Lは電流がゆっくり上がっていきますから、オンオフを繰り返せばアナログの値がでるはずです。この状態で負荷の電圧を監視し、入力よりも高いか低いかでパワーアンプ出力の値を変えます(1or0)。このままだとただのアナログアンプになるので正帰還を掛けます。つまりヒステリシス特性を持たせ、目標の値はふらふらします。↓ヒステリシスが掛かった鋸波


回路


 今回、コンパレーターを汎用ロジックで代用したいのですが、例えば74hc04の閾値は約2.1vに固定されているので苦しいです。
 そこで、icの閾値を変えるのではなく、フィードバック電圧(FB)を変えるという手法をとります。具体的な基本回路は以下の通りです。

FB入力の平均電位を抵抗で変えます。各コンデンサーはカップリング用です。入力は電流がほとんど流れないので小容量でいいです
 実験回路は以下の通りです。

電源はmicro USB(5v)で、ケーブルの長さが影響しそうなので100uFの電解コンを電源ラインに入れました。スマホ用のアダプターは低負荷時の動作が物によって違うので電源フィルターの確定は難しそうでした。
 470uHという値はおよそで決めました。周波数的な話で、あまり高すぎると遅延時間が顕著に出て、再現性が悪くなります。具体的には三角波状のリップル電圧が数倍になり、動作がリング発振器(遅延を利用した発振回路)になってしまいます。
 74hc04の閾値はVcc=5v時約2.1vで電源電圧の1/2よりも低いので、なにもしなければDuty比は50%ではありません。これは回路が入力をVthに保とうと働くことに由来しています。
そこで、FB電圧を変えるように入力にDC電圧を上乗せします。ここでは入力を51kでプルダウンし、Duty比を上げています(値は実験で決めました)。
 470uHの先に10nFの積セラがありますが、これはスピーカー(SP)接続時は意味がありません。しかし、SPが無くなったときにこれが無いとインダクタに電流が流れず、発振周波数が跳ね上がります。発熱が心配だったので入れておきました。
 最後に、基本なのですが入力の最初にフィルターを入れるといいです。スマホを繋ぐと分かるのですが、酷いノイズになって増幅されます。かなり高い周波数が含まれていて、それがノイズに変化したのだと思われます。

製作・結果


ブレボに組みました。


 発振周波数は約78kHzでした。正帰還の抵抗を小さくするとヒステリシスが強くなり、周波数は下がってリップルは大きくなります。
 MOSFETのプッシュプルは出力のリンギングが酷いイメージでしたが、今回のはほぼ無かったです。ゲート駆動素子が貧弱なのが理由でしょう。やはり低速な回路は楽ですね。
(ゲート波形)↓

 下にFB端子の電圧波形を示します(ロジック入力)

Vthを越え、出力が切り替わった直後に電圧が加減されているのが見えます。これが出力にリップルとして現れますが、周波数が高いのでSPのL成分で影響が無くなります。
 で、肝心の音ですが、私には優劣が分かりませんでした。明らかな劣化は感じられず、ノイズもほぼ聴こえませんでした。簡単な回路な事もあって割と嬉しかったです。

考察・課題


 今の回路ではLRの分を作ると2つの論理ゲートが余りますが、これが丁度良くてバイポーラ駆動に出来ます。もう1つプッシュプルを追加して、その駆動に余ってるのを使います。利点は知りませんが(本末転倒)
 ただ、1つ大きな欠点があって、ゲインが小さいことです。ゲインは負帰還抵抗と入力抵抗で変えれるのですが、上げようとすると結果的にFB電圧も下がってしまい、発振が止まってしまいます(アナログ動作)。なので、これ以上のゲインを求めるならロジックを多く繋ぐと良いのですが、1チップの利点が無くなります。それくらいならオペアンプを入力段に入れるのが現実的と思います。面倒なのでしませんが

おわり


 FETとhc04だけで組めるのでかなり楽でした。その割に波形が面白いので嬉しさも大きいです。みなさんも気晴らしに組んでみてはいかがでしょうか。
 もう1つ、私はまだ過渡応答の計算を知らないので発振周波数の式が分かりません。発振余裕度等、その辺をしっかりすると実用的になる気がするので誰か最適化してください(投げ

ここまで読んでくれてありがとう!またノ~

2019年5月3日

電子レンジを分解

 こんにちは~ぜろちゃんです。
さて、突然ですが知り合いから壊れた電子レンジをもらったので分解して部品取りをしました。

 では、写真投下していきまつ。
分解したのはこれ。HITACHIの97年製。
電子レンジお約束の回路図と、「サービスマン以外は(略)」の警告。
見た感じMOT式。別にガッカリでもうれしくもないw

あ、このブログを見に来ているような人たちは大丈夫だと思いますが念のため、
このブログを参考にして起こった事故等についっては一切責任を負いかねます。

まぁ、オイルコンデンサには並列に放電用の抵抗が入ってるし、電源つけたまま分解したりしない限りはある程度大丈夫だけどね。

蓋を開けました。部品の配置はどれもほとんど同じです。つよい...
マグネトロン、MOT、ファンなどを外しました。
右下にあるのがオイルコンデンサで、その上にある黒いのが50Hz/60Hzの切り替えスイッチです。
取り出したオイルコンデンサを観察。右にあるのは以前に別の電子レンジから取り出したもの。大きさ比較用。
3極で50Hzと60Hzの両方に対応している。

続いてはMOT。AC100Vを2000Vまで昇圧します。
手前にみょーんって出てるのは高圧の線ではなく、マグネトロンのヒーター用の線。
 ヒーター用の線は最大値を測ってみたら6Vくらいだった。
スズメッキ線でショートさせたら赤熱して焼き切れた。
電流はそこそこ流せるっぽい。
最後に、今回取り出した部品たち。使う機会なかなか無いけどそのうち使うでしょう(こなみ

 感想としては、ねじの数も多くなく、比較的分解しやすかったかな。

ではまた~